公式な場で着るフォーマルな服装として、或いはビジネスパーソンの正装として、広く認知されているスーツですが、近年、働き方の多様化やビジネススタイルの変化から、スーツを着る意味や必要性について疑問を感じている人も多いのではないでしょうか。
マイナビが2015年に実施した、スーツについての意識調査によると、約6割がスーツを着用する必要性を感じないと回答しています。
(引用:マイナビニュース)
しかし、現状ビジネス環境はスーツ着用を義務化している企業も多く、根強く慣習として残っています。
そこで本記事では、スーツを着る理由や必要性と、相手に好印象を与える身だしなみのポイントについて詳しく解説します。
目次
スーツを着る理由とは
行事ごとで着る場合や仕事着として着用する機会が多いスーツですが、なぜスーツなのか、説明できる人は少ないのではないでしょうか。
そこで、スーツがかしこまった場面で着られるようになった理由についてご紹介します。
公の場で正装とされている
冠婚葬祭やビジネスなどの公の場において、スーツは正装とされていますが、これは法律で定められているのではなく、あくまでも「慣習」です。
慣習となった背景として、スーツは19世紀頃から軍人や貴族が着る正装で、格式の高い服装として位置づけられてきました。
階級社会が浸透するヨーロッパでは特に、スーツを着こなすことのできる人は、他社への礼節を重んじる、上品で礼儀正しく、知的で教養の高い立派な人だと見なされてきた文化があります。
上述のような理由と歴史的な背景が根強く残り続けて、現代でもアッパークラスとなるとスーツを礼節として着続けていることは間違いありません。
戦闘服としての役割もある
スーツは元々、19世紀頃から「軍服」として採用されてきた歴史的な背景があり、兵隊の規律を定め、統率を図るツールとして活用されてきました。
ユニフォームなどで集団の装いを揃えることで、その職業に就いているという意識が明確になり、イメージにふさわしい振る舞いをしようとする傾向があるとされています。
戦争が減った現代では、ビジネスが人々の主戦場となり、スーツはビジネスおける戦闘服(ユニフォーム)として残り続けています。
スーツを着る必要性について
冒頭で取り上げた、マイナビの意識調査では、スーツの必要性だけではなく、メリットや必要性についても、さまざまな意見が挙げられていますので、深堀りしてご紹介します。
オンとオフの切り替えが容易
スーツの脱着は、オンとオフの切り替えが容易で、仕事とプライベートのメリハリがつけられるため、仕事効率の向上を図ることでき、従業員、企業共にメリットがあります。
スーツを着て仕事をしている間は、プライベートを持ち込まないと意識付けることで、明確に公私を区別することが可能です。
そのため、スーツを義務化していない、広告やゲーム、デザイン業種であっても、積極的にスーツを着用している人も少なくありません。
相手や周りへの配慮として必要
ビジネスや公の場において重要なことは、自分の価値観や考え方を押し付けるのではなく、相手の目線で考えて配慮をすることです。
現代において、フォーマルな場面で最も違和感がなく、相手に不快感を与えない服装はスーツです。
カジュアルな服装が推奨される企業や場面であれば別ですが、仕事において、相手に不用意な誤解を与えず、本質的な議論に集中できる服装を選ぶことは非常に大切です。
自分の価値を高める戦略として有効
社会心理学で、服装や身だしなみなど、相手の目立つ特徴につられて評価が左右される「ハロー効果」という現象があります。
ビジネスにおいても、有名な大学を卒業している高学歴者や大企業に勤めていると、無条件にその人の能力を高く評価する傾向があります。
スーツを正しく着こなすことで、清潔で好感の持てる身だしなみとなり、誠実さや知的さといった第一印象を与えられるので、ポジティブなハロー効果を期待できます。
第一印象が重要となる営業や社交の場に赴く機会が多い人にとって、スーツなどの自己の評価を高めるセルフブランディングは非常に大切です。
単純にスーツはかっこいいという意見
昨今、スーツ男子というフレーズが一般化する程に、スーツを着こなす男性は魅力的だと考える女性が増えています。
宅配クリーニング大手の株式会社ヨシハラが、全国の社会人女性を対象に、「スーツ男子へのこだわり」に関する意識調査を行ったところ、約9割の女性がスーツ男子を好印象と回答しています。
(引用:PR TIMES)
正しくスーツを着こなす清潔感のある男性は、ビジネスシーンだけではなく、男女間の関係でも好印象を与えることが可能です。
相手に好印象を与える身だしなみの三原則
身だしなみとは、基本的に相手に不快感を与えない、お互いが気持ちよく過ごせるように、気を遣うことを指します。
不潔な格好やその場に相応しくない服装は、個人だけではなく、企業や組織全体のイメージダウンに繋がりかねません。
そこで、身だしなみの三原則といわれる「清潔感」「調和」「品位」について詳しくご紹介していきます。
清潔感
身だしなみにおいて最も重要なのが清潔感です。高級なスーツや靴であっても、メンテナンスが行き届かず、汚れていると不潔に見えてしまいます。
清潔感のある身なりは、相手への礼儀であると同時に社会人として最低限のマナーです。清潔感は信頼感に繋がるので、社内外問わず、ビジネスの場では大切な要素です。
またキレイにメンテナンスをされていても、ジャケットのサイズが合っていない、ズボンの裾が長過ぎるなど、だらしない着こなしをしていると清潔感がないと見なされます。
体重の増減などは仕方のないことですが、体型に合わせてスーツも新調、あるいはお直しを怠らないようにしましょう。
調和
社会人は、TPO(時間・場所・場面)に応じた服装を選ぶことを求められています。職場やその場所に合った、髪型や装飾品などを身につけることも正しい身だしなみの要素です。
相応しくない格好や見た目の場合は、相手に迷惑がかかり、失礼な行為となってしまいます。
調和とはすなわち、空気を読むことなので、過度な自己表現は避けることが無難です。
品位
品位とは外見や立ち振る舞いのことを指します。適切な身だしなみで背筋が伸びた、自信のある振る舞いは、相手に尊敬や安心感を与えることができます。
品位には、相手を尊重する気持ちや、仕事への情熱やプライドが表れます。日頃からそのようなことを意識することで、自然と品格のある振る舞いができるようになります。
スーツは正しく着こなすことが大切
本記事でお伝えした通り、スーツを着ることで相手に清潔感や信頼感といった好印象を耐えることができます。しかし、そういった印象にするには「正しく着る」という前提があります。
スーツの着こなしは16世紀から現代まで、300年以上の時間をかけて洗練され、フォーマルな場やビジネスにおいて正装と位置づけられました。
スーツを着ることは堅苦しく面倒だと思う人も多いと思いますが、マナーを守り、しっかりと着こなすことで、着る人の魅力や品位を確実に高められる便利な服装です。
公の場においては、自分の価値観や考えはひとまず置いておき、まずは相手に不快感を与えない、TPOに応じた服装を心がけましょう。